ザビーナ・シュピールラインの悲劇: 男というもののダメさ加減

日経新聞の読者欄関連の第二弾です.今度は,書評からです.取り上げる本は,「ザビーナ・シュピールラインの悲劇」です.

私は,精神分析学が苦手です.まず,大学生のころ文庫版でフロイトの「精神分析学入門」を読んで,非常に胡散臭く感じました.(夢占いとどこが違うの?という感じ.) そして,カール・ポパーがアードラーの診療所でバイトしたとき,ポパーが見つけたアードラーの学説に不利な症例に対して,アードラーが患者を診察もせずに適当に説明したことで,ポパーが精神分析学を見限ったエピソードに出会って,私にとっての胡散臭さが強まりました.

「ザビーナ・シュピールラインの悲劇」という本は,フロイトと並ぶ精神分析学の創始者ユングの愛人であったユダヤ人女性に関する本です.ユングは,晩年にもトニ・ヴォルフという愛人がいたそうですが,若い頃,新婚時代に患者であったザビーナと関係を続けました.そして,彼女を捨てます.

ザビーナはフロイトに助けを求めますが,フロイトは精神分析学の普及に非ユダヤ人のユングが,必要と考えて,これを邪険に扱います.(ひどい!)

なんとザビーナは,その後優秀な精神分析家となり,優れた研究をするようですが,祖国ソ連で肉親はスターリン粛清で殺され,自らも侵攻したドイツ軍に娘二人と共に虐殺されます.なんという人生!

それにしても,ユングの業績は横においておいて,この方は人間としてかなり最低の部類に属するように感じます.適当に女を遊びの道具に考えたりするという意味で,進歩的な人間でも何でもないユングの俗物さに吐き気を催します.

私の立場は,繰り返しますが,その人間の能力や業績と,人格は別個に考えよというものですから,ユングの思想がダメと言っているわけではありません.ただ,ユングが男として,人間としてダメと言っているだけです.

これで,(1)人格・徳性と(2)能力・業績が,無関係という私の自説を補強する例証が増えました.

それにしても,男ときたら・・・・・やれやれ.




ザビーナ・シュピールラインの悲劇 ユングとフロイト、スターリンとヒトラーのはざまで
岩波書店
ザビーネ・リッヒェベッヒャー

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ザビーナ—ユングとフロイトの運命を変えた女
日本放送出版協会
カシュテン アルネス

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この記事へのコメント

2009年12月26日 20:01
「ユング?ポルターガイスト現象の?」
電脳な旅人
2012年08月15日 04:27
古い記事ですが、面白かったです^^
たしかに、ユングは人間として、いかがなものかと思いますが、ザビーナとの治療で語られる内容は男からしてみれば仕方なかったのでは?と男は同情しちゃいます^^;
クローネンバーグの『危険なメソッド』を是非ご覧になってくださいな~
pahud
2013年06月21日 21:24
コメント,ありがとうございます.

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