wavelet解析おもしろいです

以前,必要あってKalman filterを再勉強したとブログに書きました.そのとき,Kalmanの原論文を読んでみて,すごいなと思いました.それは,それとして,発想が Wiener-Kolmogorofの信号推定問題だったことを強く意識したのが新鮮でした.普段,時系列解析を統計解析の立場からしか見ていなかったので,Kalman filterなんかも信号推定の文脈ではなく,完璧に分かった気分でするーしていたことを反省させられたのでした.

つまり,信号推定というと,工学的な発想というのでしょうか,実用的にデータを処理する立場というんでしょうか,少し観点がちがうんですね.

信号の発信源があって,それに雑音が付加された,受信データがあるとき,受信データから発信源のデータを,できるだけ正確に復元しましょうという発想です.

一見すると,統計解析とも似ていると思うのですが,実は,発信源におけるデータ生成メカニズム自体については既知あるいは,かなり頑健な知識があると,想定されており,問題は雑音部分がすごく大きくて,観察される受信データはものすごく雑音に「汚されている」という状況において,受信データから雑音をいかにフィルタリングするかという問題なんですね.

これに対して,統計解析においては,雑音に対応する観測誤差はとても小さいということが想定されています.(多分)  そして,誤差を含むデータからシステムそのものを推定することに主眼が置かれます.そしてしばしば,確率論を基礎に,推定が展開されます.

データを処理するということを行いながら,かなり違った発想にもとづいているのは,興味深いです.

で,wavelet解析です.これは,データ処理の一つの方法です.雑音に汚されて,目視その他の直感的なデータ処理によっては何も情報をひきだせなさそうな時系列データから,非常に的確に不規則衝撃が加わった時点を見つけてみたりすることが可能です.

これは,フーリエ解析のような伝統的な周波数解析が定常性・周期性を前提にしているために,非定常・非周期的なデータに対しての解析に限界があったこととからすると,大きな進歩とみなされるわけです.

よく考えてみると,伝統的なWiener-Kolmogorofの接近が定常性を前提にフーリエ解析の周辺から接近して袋小路に入ったのを,時間領域の方から非定常データに対してシステムに関する知識をフルに使うことで解析してみせたKalmanがやってのけたことと,ダブります.

フーリエ解析は,指数関数(複素数で考えるので,三角関数を含みます)の重ね合わせとしてデータを眺める,wave解析なんですが,waveは周期的だということが,不規則・非定常なデータを処理するときにやっかいな問題をもたらすわけです.

これに対して,wavelet解析は字義通り波のかけらを重ね合わせることによって,周期性・定常性についてはうるさくいわないで解析することで,フーリエ解析において固定的な窓関数を使った時間周波数解析で,非定常データを扱う限界を楽々クリアするんですね.(このあたりは,石油採掘の現場でガボール変換のような時間周波数解析を手直しして,経験的にwavelet解析が発見されて成果を挙げたという,wavelet解析の研究史を考えると一層興味深いです.)

ポイントは,データ全体を,むりやりある観点(指数関数・三角関数に基づく正規直交系)で分析することにこだわらず,代替的な正規直交系(いろいろなwavelet基底)で,局所的な動きを抽出するというものです.

局所的に分かりやすいシステムで解析し,時系列データを眺める窓そのものを柔軟に変えていく,似ています・・・・

それにしても,wavelet解析には,確率論がまったく出てきません.

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