ドキュメンタリー「音楽は民族を超えて」

日曜日の深夜,なんとなくNHKの衛星放送をみていたら,バレンボイムが映っていました.見始めて数分で,音楽番組でないことはきづいたのですが,結局最後まで見入ってしまいました.それは,「音楽は民族を越えて」というドイツの放送局の制作したドキュメンタリでした.

バレンボイムは,1999年からパレスチナ系アメリカ人の文学者のE.サイードと,才能ある若いクラシックの音楽家たちをイスラエルとアラブ(パレスチナを含む)双方から毎年夏に集めてWest-Eastern Divan Orchestra)を組織しています.(サイードとバレンボイムはこの業績が「国際的な理解に貢献した」という理由で2002年度のスペイン皇太子賞を受賞していますが,イスラエルではバレンボイムの行動は,物議もかもします.(イスラエル国内でのワグナー作品の演奏など)

実は,不勉強で,バレンボイムがユダヤ人ということは知っていたのですが,国籍がイスラエルということをまったく知りませんでした.また,イスラエル国内でのワグナー作品の上演のニュースは知っていたのですが,彼がパレスチナ問題において共存派の先鋒としての政治的な発言によって,国内で多くの批判者をもつことは知りませんでした.

で,ドキュメンタリは,上記の若者のオーケストラをカメラが追うわけですが,クライマックスは2004年のパレスチナ自治区でのラマラ公演です.オーケストラの公演旅行の途中で,団員にバレンボイムが突然,その計画を打ち明け,多くの国の外交ルートの助けを得て実現するわけですが,当事者の団員たちはイスラエル,パレスチナ,スペイン,シリア,ヨルダン,出身はさまざまです.実現まで団員同士の激論をカメラが映し出します.イスラエルの団員は,身の安全が保証されるのか不安です.

最終的に,ラマラで公演は成功します.番組は,全ての団員がラマラ公演の同行したかは明確にしていませんが,イスラエル人の団員の多くが危険を犯して公演に参加したことを映し出しています.感動的でした.

番組の途中で,バレンボイムがイスラエル国内で非常に大きな賞,ウルフ賞を受賞するところが映し出されます.そこで,バレンボイムは,ここで自分が10歳で建国後間もないイスラエルに移住した生い立ちを話した後,独立宣言を引用し,自国のパレスチナ政策がいかにそれに反するものかをアピールします.これに対して会場からブーイングや反対の声,あげくは授賞する立場の教育大臣(女性)からの猛反発が上がります.多分,これほど異常な授賞式は,世界中あまりないでしょう.

それにしても,バレンボイムの強い意思が表に出た場面でした.バレンボイムは,オーケストラを若い音楽家を純粋に育てるという以上の意味で組織しています.サイードとの友情に基づいているわけですから,そこになんらかの政治的な色彩が入ってきてしまうのは,仕方がないでしょう.実際,団員はしょっちゅう政治的な議論します.(確実に相互理解につながっていますが.)

バレンボイムは冷静な人で,「音楽が平和をもたらす」などという美辞麗句を信じていません.それでも,対話しかないという信念を前面に出して,人々に訴えかけます.

イスラエル国民でいる限り,パレスチナ問題を何らかの形で意識せざるをえないわけですが,バレンボイムはよくも悪くも,積極的な形でかかわろうとするようですね.

今日は,日記としても,考えがまとまりません.音楽家と政治の問題は,いずれ,亡命音楽家の話とからめて,いろいろなケースを取り上げてみたいと思います.

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック